2008年03月21日

尋ねて雪か(新装版)

幼い妹、弟のために自分が働き父親の借金を返すと、20数年前に17歳で東京に出た「佐古田史朗」が主人公。

ひょんなことである組に拾われ、今ではその組を取り仕切る立場にある。

しかし、故郷と幼い妹、弟を捨てた過去が頭から離れず・・・何一つ出来ないことに気が付いていなかっただけで、半分は自分に賭けていたのだが、結果的に借金取りから逃げ出した父親と変わらなかった・・・心が晴れたことはない。

たまたま仕事で訪れた札幌で、頭から離れない過去に出会い、今度こそ何とかしてやりたいと思うのだが.....。

全体としては良くまとまっていると思うのですが、他の志水辰夫の作品ほど胸に迫ってくるものがありません。

多くを語らず、心の内を見せない男「佐古田史朗」というキャラクター設定上、過去と現在は記述されているのですが、最もどろどろしていると思われる現在に至る状況の殆どが読者の想像にゆだねられており、さっぱりし過ぎてしまったのが原因かもしれません。

尋ねて雪か (徳間文庫 (し8-6))
徳間書店 [著] 志水 辰夫
ASIN:4198926786 /文庫/343頁
発売日:2007-10
ランキング&評価:---位
価格:¥ 620 [2008-03-21 Amache]
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posted by 京極恭輔 at 12:47 | 上海 ☀ | Comment(1) | TrackBack(0) | BOOK

2008年03月16日

アヒルと鴨のコインロッカー

大学入学のために引っ越してきたばかりの「椎名」、同じアパートの向かいの部屋に住む正体不明の「河崎」。
「河崎」の過去に関係する「琴美」、「ドルジ」、ペットショップを経営する「麗子」...。
不思議な人物のオンパレードです。

現在と2年前の出来事が交互に展開されていきますが、現状との折り合いをつけながら色々な人生を生きている上記登場人物の物語に途中参加した主人公「椎名」が、戸惑いながら着いていきます。

ペット殺し、HIVなど決して軽い内容ではありませんが、物語り全体としては軽妙に仕上げています。

まぁ、特殊なケースだなと思って読んでいたのですが、他人の物語に途中参加するのは我々の人生でも決して珍しいことではなく友人、恋人、夫婦、会社の同僚もお互いに他人の物語に途中参加していることに気が付き愕然としました。

伊坂幸太郎の作品を読んだのは2作目ですが、人生の機微や悲しみを扱いながらも軽妙に仕上げる独特の力量を感じます。

引き続き他の作品も読んでみたいと思います。

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
東京創元社 [著] 伊坂 幸太郎
ASIN:4488464017 /文庫/384頁
発売日:2006-12-21
ランキング&評価:---位 4.0
価格:¥ 680 [2008-03-16 Amache]
4 - 伊坂作品としは上出来
5 - ストーリーのうまさと青春小説の軽さ
4 - 展開がオモシロイ。
1 - たいくつ
2 - 初めて伊坂幸太郎を読んだけど・・・


posted by 京極恭輔 at 13:05 | 上海 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK

2008年03月01日

繁殖

久しぶりに仙川環の作品を読みました。

保母、「原島聡美」が夏休みに企画した行事で園児が食中毒を起こし管理者として微妙な立場に置かれます。

ところが、実は単純な食中毒ではないことが徐々に明らかになっていきます。

若干現実離れした部分もありますが、「原島聡美」とその恋人「桧垣学」がこの危機に対してどのように悩み対処したのかを中心に物語りは進んでいきます。

そこに、ある大学病院からこの地の病院に派遣され単身赴任をしている「町田信夫」を上手く絡ませています。

家族とも上手くいかず、やりがいを失いかけていた「町田信夫」が生気を取り戻すのと、物語の進行が絶妙にシンクロしており爽やかな読後感を得られます。

世の中、そんなに上手く行かないよと感じる方もいるでしょうか、実生活を振り返ると「町田信夫」の姿が身につまされ、この物語の結末にひと時の安らぎを感じる人も多いのではないでしょうか。

繁殖 (小学館文庫 せ 2-3)
小学館 [著] 仙川 環
ASIN:4094082301 /文庫/288頁
発売日:2007-12-04
ランキング&評価:---位
価格:¥ 560 [2008-03-01 Amache]
No User Review


posted by 京極恭輔 at 21:39 | 上海 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK
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