本著は題名からも分かる通り特殊な聴力を持つ「結城翠」が活躍します。
事件の筋を読むところでは「青山翔」がメインなのですが、柚木優子がソリストをつとめるコンサートの指揮者「辛島秋仁」が「結城翠」の特殊聴力に興味を抱いたことから捜査及びつめがスムースに進んでいるので、やはり「結城翠」がメインと言えるのでしょう。
前半部分の伏線の張り方は相変わらず見事です。
トリックは決して目新しいものではありませんが、盗難事件と殺人事件を上手く絡め解き明かしてゆく過程がスリリングで楽しめます。
しかも、音楽シーンの描写も楽しめます。その場で聴いているような錯覚を覚えるほどです。
知らなかったのですが、著者はレコード会社でプロデューサーをやっていたことがあるそうです。
空手や棒術を教えているのは知っていたのですが、実に多才な人なんですね。
すっかり、このシリーズのファンになってしまい、未だ読んでいないのは「ST 警視庁科学特捜班」、「ST 警視庁科学特捜班 毒物殺人」の2作品です。
早く読んでしまいたいのですが、読破してしまうと読むものがなくなるので禁断症状が出そうで心配です。
講談社 [著] 今野 敏
ASIN:4062756455 /文庫/299頁
発売日:2007-02-10
ランキング&評価:---位 3.0
価格:¥ 600 [2008-08-24 Amache]3 - 音であふれた、おとなしい作品