2008年08月24日

ST警視庁科学特捜班 緑の調査ファイル

世界的バイオリニスト柚木優子の所有するストラデイバリウスが掏りかえられた事件の捜査中にコンサートマスターが密室で殺されます。
本著は題名からも分かる通り特殊な聴力を持つ「結城翠」が活躍します。
事件の筋を読むところでは「青山翔」がメインなのですが、柚木優子がソリストをつとめるコンサートの指揮者「辛島秋仁」が「結城翠」の特殊聴力に興味を抱いたことから捜査及びつめがスムースに進んでいるので、やはり「結城翠」がメインと言えるのでしょう。

前半部分の伏線の張り方は相変わらず見事です。
トリックは決して目新しいものではありませんが、盗難事件と殺人事件を上手く絡め解き明かしてゆく過程がスリリングで楽しめます。

しかも、音楽シーンの描写も楽しめます。その場で聴いているような錯覚を覚えるほどです。

知らなかったのですが、著者はレコード会社でプロデューサーをやっていたことがあるそうです。
空手や棒術を教えているのは知っていたのですが、実に多才な人なんですね。

すっかり、このシリーズのファンになってしまい、未だ読んでいないのは「ST 警視庁科学特捜班」、「ST 警視庁科学特捜班 毒物殺人」の2作品です。
早く読んでしまいたいのですが、読破してしまうと読むものがなくなるので禁断症状が出そうで心配です。

ST警視庁科学特捜班  緑の調査ファイル (講談社文庫 こ 25-14)
講談社 [著] 今野 敏
ASIN:4062756455 /文庫/299頁
発売日:2007-02-10
ランキング&評価:---位 3.0
価格:¥ 600 [2008-08-24 Amache]
3 - 音であふれた、おとなしい作品


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ST警視庁科学特捜班 黄の調査ファイル

ある宗教団体の人間関係に端を発する殺人事件をSTが解決します。

実家が曹洞宗の寺で、僧侶でもある薬学専門の山吹才蔵が活躍します。
しかも、専門である薬学ではなく、禅の側面から事件解決の糸口を掴みます。

人間同士、チョッとしたすれ違いが重なると大きな事件になってしまう良い例かもしれません。

静寂でありながらもスリリングな結末が楽しめます。

ST警視庁科学特捜班 黄の調査ファイル (講談社文庫)
講談社 [著] 今野 敏
ASIN:4062755548 /文庫/300頁
発売日:2006-11-16
ランキング&評価:---位
価格:¥ 600 [2008-08-24 Amache]
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2008年08月17日

ST警視庁科学特捜班 赤の調査ファイル

ある医療訴訟の捜査でSTが活躍する物語です。

大学病院の医療の現場を舞台に秘められた「赤城」の過去が明らかになります。

理想と現実の狭間で葛藤する人は多いと思いますが、それを余すところ無くしかも自然に読者を惹き込む著者の描写に感心しました。

今まで、殆ど注目していなかった「赤城」に対する見方も変わりました。

緊迫感の中に温かみを感じる秀作です。

ST警視庁科学特捜班 赤の調査ファイル (講談社文庫)
講談社 [著] 今野 敏
ASIN:4062754754 /文庫/333頁
発売日:2006-08-12
ランキング&評価:---位 5.0
価格:¥ 650 [2008-08-17 Amache]
5 - 『日常』の隣の『身近な事件』


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2008年08月16日

ST警視庁科学特捜班 青の調査ファイル

私の場合、シリーズラストの黒の調査ファイルから読んでしまったのですが、通称「ST」の「色」シリーズの第一弾です。
読み終わってから気が付いたのですが、「青山翔」が主役なので「青の調査ファイル」という題名なのですね。

ある弱小プロダクションのチーフ・ディレクターが、心霊現象のテレビ番組の撮影中に死亡します。

プロダクションのディレクター、AD、霊能者、タレント、テレビ局のプロデューサー。
誰もが犯人の可能性があり一見難解と思われる事件を解いていく過程も面白いのですが、警察内部の人間模様なども絡めた描写が青山の活躍に対して爽快な読後感を残してくれます。

ST警視庁科学特捜班 青の調査ファイル (講談社文庫)
講談社 [著] 今野 敏
ASIN:4062753987 /文庫/326頁
発売日:2006-05-16
ランキング&評価:---位
価格:¥ 620 [2008-08-16 Amache]
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最悪

奥田英朗と言えばイン・ザ・プールや空中ブランコのイメージだったので、本著も同様に大いに笑わせてもらえると思い込み、川谷、みどり、和也、それぞれの最悪の状況のシリアスな描写に最初は若干戸惑いました。

ただ、窮地に陥った時の3人それぞれの言動や考え方のハチャメチャ振りは伊良部先生のキャラクターに通じるところがあり、別の意味で笑わせて貰いました。

根っからの悪人ではない3人が、ヒョンな切っ掛けで堕ちていく様子はやけにリアリティがあり背筋が寒くなるほど上手く描かれています。
奥田英朗の底深さを感じさせる作品です。

最悪 (講談社文庫)
講談社 [著] 奥田 英朗
ASIN:4062735342 /文庫/656頁
発売日:2002-09
ランキング&評価:---位 4.0
価格:¥ 920 [2008-08-16 Amache]
5 - テンポがいい
5 - 人それぞれの最悪の定義
5 - 坂道を転がり落ちる
5 - 偶然に買ったんですが
5 - 自分には厚すぎる本だと思った が!!


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2008年08月11日

黒いモスクワ ST警視庁科学特捜班

面白い!
FSB(KGBの後継組織)、怪僧ラスプーチン、ロシアマフィア、シャンバラ伝説、ポルターガイスト現象と内容は多岐に渡るのですが、すっきり見事に纏めています。
登場人物も、最初は赤城と百合根の二人だったのが、他の四人も合流し五人組みが全て揃い怪僧ラスプーチンゆかりの教会を買い取ったロシアマフィアの怪死事件の謎を一つ一つ解いていきます。

五人それぞれが非常にユニークで、しかも丁寧に個々の人物像を描いているのですが、この作品でも、無口な黒崎の存在感が際立っています。

この「ST警視庁科学特捜班」シリーズを全て読破したくなりました。

黒いモスクワ―ST警視庁科学特捜班 (講談社文庫)
講談社 [著] 今野 敏
ASIN:4062739305 /文庫/310頁
発売日:2004-01
ランキング&評価:---位 4.0
価格:¥ 600 [2008-08-11 Amache]
4 - キャラクターが良いシリーズ。


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ST警視庁科学特捜班 黒の調査ファイル

帯に「中国マフィア抗争の裏」と書いてあったので、面白そうだと思い購入したのですが、本著は警視庁科学捜査班、通称「ST」の「色」シリーズのラストだったのですね。
科学特殊能力を持つ五人組が活躍します。
本著では、美作竹上流で通常10年かかるという中伝免許をわずか1年で獲得した黒崎が大活躍します。
振り込め詐欺の被害にあった売れない役者の復讐劇に上手く潜入し、同時に中国マフィアの逮捕のアシストをします。
殆ど、台詞のない黒崎の存在感が異色の出来です。
話が上手く出来すぎている感はありますが、単純明快に楽しめる作品です。

ST警視庁科学特捜班 黒の調査ファイル (講談社文庫 こ 25-15)
講談社 [著] 今野 敏
ASIN:4062757338 /単行本/298頁
発売日:2007-05-15
ランキング&評価:---位 3.0
価格:¥ 600 [2008-08-11 Amache]
3 - 警察版ゴレンジャー


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2008年07月31日

イン・ザ・プール

神経科医伊良部先生シリーズの第一作です。
私の場合、「空中ブランコ」を先に読んでしまったのですが、伊良部先生のハチャメチャ度はイン・ザ・プールの方が激しいです。

古き良き時代には実際にこんな医者がいたのかもしれません。

社会も企業も伸び伸びとして生きていけない息苦しい時代になってしまいましたが、この伊良部先生シリーズが売れている理由は、現実離れしたハチャメチャから来る爽快感にあるのでしょうね。

元気が出る一冊です。

イン・ザ・プール
文藝春秋 [著] 奥田 英朗
ASIN:416320900X /単行本/269頁
発売日:2002-05
ランキング&評価:---位 4.5
価格:¥ 1,300 [2008-07-31 Amache]
4 - 患者が自分で病気を克服する神経科
4 - 型破りだけど抜け目がない
5 - 看護婦さ〜〜ん。
4 - 名医。
4 - 登場人物と一緒に癒される


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2008年07月26日

空中ブランコ

能天気なのか、自然体で生きているだけなのか良く分からない伊良部総合病院の跡取り?の伊良部先生。

やることも言うこともハチャメチャ。
変な医者なのに何故か患者は拒否できず、また来たくなってしまう。
いつの間にか患者と同化して患者をリラックスさせるんですね。

読み終わったら、私自身の体の力も抜けて気が楽になりました。

色々な意味で行き詰っている人にお勧めの一冊です。

空中ブランコ (文春文庫 お 38-2)
文藝春秋 [著] 奥田 英朗
ASIN:4167711028 /文庫/282頁
発売日:2008-01-10
ランキング&評価:---位 4.5
価格:¥ 500 [2008-07-26 Amache]
5 - イン・ザ・プールのがいいかな
4 - 思わず笑い声をあげてしまいました
5 - すごい!
4 - インザプールの続編。でも、こっちの方がイイ。
5 - 「伊良部シリーズ」第二弾


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2008年07月17日

陽気なギャングが地球を回す

特殊能力を持つ4人組銀行強盗の話です。

この荒唐無稽さ、理屈抜きに楽しめます。

多分、その場に居合わせた客は我に帰った時に、今のは一体なんだったんだろうと思うんでしょうね。
それほど見事な手口です。

前半に伏線として出てくる4つの内容は、読んでいて伏線だとは分かるのですが、一体銀行強盗と何の関係があるのかと思っていました。
見事です。
後半のどんでん返しも見事に決まっています。
どんでん返しがあるだろうと思って読んでいるのに全く予想できませんでした。

とにかく一度読んでみることをお勧めします。

続編も計画されているようなので楽しみです。

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)
祥伝社 [著] 伊坂 幸太郎
ASIN:4396332688 /文庫/394頁
発売日:2006-02
ランキング&評価:---位 4.0
価格:¥ 660 [2008-07-17 Amache]
5 - 陽気なギャング達のコメディ
3 - 夜更かしはしたけれど
4 - 90分で読めます
4 - 友人をみれば・・・
5 - 小説を超えた!


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2008年07月06日

パラレル

今野敏と言えば「警察小説」と思っていました。
最近読んだ「神々の遺品」、「海に消えた神々」から印象が変わってきていたのですが、武道小説、伝奇小説も得意分野だったんですね。
本作品は、その全てを味わえる贅沢な作品です。

非行少年が一瞬にして殺されるという事件が3件連続して発生したところから物語が始まります。
登場人物が実に多彩です。
少年課の巡査部長、部長刑事、武道家、衆議院議員、高校教師(暴走族初代ヘッドの元恋人)、暴走族2代目ヘッド、役小角の転生者である高校生、お祓い師。
現実主義の警察と現実離れした状況、登場人物。
この奇妙な取り合わせを、それぞれの特徴を生かしながら上手く仕上げています。
登場人物の特徴を行動や状況から描き出すのが相変わらず見事です。

著者の武道小説、伝奇小説も是非読んでみたいと思います。

パラレル (中公文庫)
中央公論新社 [著] 今野 敏
ASIN:4122046866 /文庫/372頁
発売日:2006-05
ランキング&評価:---位 3.0
価格:¥ --- [2008-07-06 Amache]
3 - はまる小説


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2008年06月29日

海に消えた神々

私立探偵「石神」を主人公とするシリーズもので、「神々の遺品」に続く第二弾です。

沖縄の古代遺跡に関する捏造疑惑がもとで自殺した仲里教授の無念を晴らして欲しい、との依頼が石神のもとに舞い込みます。
しかも、依頼主は高校生で仲里教授とは友人の父親だと言う。

邪馬台国、ムー大陸伝説とかつての大東亜共栄圏構想の結びつき、米軍、政治家、マスコミ....。
これは、壮大なロマンと国家レベルの陰謀が展開されるんだな、とわくわくしながら思い読み進めていきました。

それにしては、残りのページ数が足りないな、と感じてはいたのですが、あれっ、と言うくらいこじんまりと無難に収束してしまいます。

良く纏まっている作品ですが、「神々の遺品」を読んだ直後ということもあり、期待が大きすぎた感は否めませんが欲求不満が残ってしまいました。

第三弾に期待したいと思います。

海に消えた神々 (双葉文庫)
双葉社 [著] 今野 敏
ASIN:4575509965 /文庫/350頁
発売日:2005-03
ランキング&評価:---位
価格:¥ 680 [2008-06-29 Amache]
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2008年06月21日

神々の遺品

古代文明、宇宙、神がキーワードです。
アメリカの国防長官をも丸め込み、古代の謎を解き自らを人類の救世主であると信じる危険人物「シド・オーエン」とそれを阻止しようとする人々の物語です。

シド・オーエンに利用されたアメリカ国防総省のジョーンズ少将、人探しを請け負った元刑事で私立探偵の「石神」、バチカンが送り込んだ神父、KGBの後継組織FSBが送り込んだロシア人、警察が絶妙に絡んで進行していきます。

面白くて一気に読み終えてしまったのですが、この作品が読者を惹きつけるのは、リアリティです。
それは、様々な文献をあったたのだろうと思われる古代文明に関する詳細な記述とアメリカを舞台にしたことで日本では有り得ないことであっても、アメリカならあるかもしれないな、と思わせるところだと思います。

古代文明に関する記述だけでも一読の価値があります。

神々の遺品 (双葉文庫)
双葉社 [著] 今野 敏
ASIN:4575508578 /文庫/400頁
発売日:2002-12
ランキング&評価:---位 5.0
価格:¥ 730 [2008-06-21 Amache]
5 - リアリティに惹きつけられます。


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2008年06月15日

グラスホッパー

面白半分に妻を轢き殺された「鈴木」が狙う復讐の対象と3人のユニークな殺し屋が、織り成す不思議な物語です。

読み始めは現実感が非常に乏しいのですが、読み進めているうちに現実感を帯びてきて背筋が寒くなります。

「劇団」や「押し屋」等は実在していても何の不思議もありません。

中盤辺りから、物語の中にどんどん引きずり込まれて行きます。

私は、通勤時に読書をしているのですが、この作品を駅のホームで読んでいる時に、偶々通った通過電車がなかなか通り過ぎないのでまさか「幻覚」?と真剣に焦りました。

読後の爽快感はありませんが、終盤からのスピード感あふれる展開は一読に値します。

グラスホッパー (角川文庫 い 59-1)
角川書店 [著] 伊坂 幸太郎
ASIN:404384901X /文庫/345頁
発売日:2007-06
ランキング&評価:---位 4.0
価格:¥ 620 [2008-06-15 Amache]
5 - 郡生相
4 - ラストのどんでん返し
5 - 極論すれば伊坂幸太郎が苦手な人でも楽しめる
4 - うーん。なんだろう。
2 - エンターテインメント



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2008年06月07日

さまよう刃

少年犯罪と少年法がテーマです。

加害者が撮影した「被害者を陵辱している」ビデオを被害者の家族が見てしまうというショッキングな場面の効果もあるのでしょうが、著者の思惑にすっかり嵌ってしまった感もあるのですが、被害者の父、刑事、加害者に利用された少年の心理状態と苦悩が見事に描かれています。
事件をネタに茶番を展開するマスコミの醜い姿にも触れる等物語の構成も上手く出来ています。

ただ、誰も報われない結末、なんとも遣る瀬無い読後感が残りました。

過去の苦悩から自分自身を解放しようとして、被害者の父「長峰」を助けようとしていた丹沢和佳子の苦悩は更に深まったんだろうな、と思いながら読み終えました。

さまよう刃 (角川文庫 ひ 16-6)
角川グループパブリッシング [著] 東野 圭吾
ASIN:4043718063 /文庫/499頁
発売日:2008-05-24
ランキング&評価:---位 4.5
価格:¥ --- [2008-06-07 Amache]
5 - すごいっ!
5 - 文庫化
4 - 小説としては○。東野圭吾の作品としては△。
4 - 映像化が楽しみ


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2008年05月31日

震度0

阪神大震災と同じ時期にN県警の警務課長「不破」が謎の失踪をします。

キャリアとノンキャリアの確執、それぞれの野心を中心にドロドロした世界が描かれています。

死者が、それまでに組織に対してどれだけ貢献していたかは全くの考慮外で、自分の出世に影響する問題が発生した時に「震度0=何も無かったこと、にするにはどうすれば良いのか」に終始する幹部達。

たまたま警察が舞台になっていますが、重視すべき外部に目を向けず組織内部の都合で重要事項を決定してしまう状況を笑えなかった読者も多いのではないでしょうか。

良く纏まっていますが、第三の時効、クライマーズ・ハイほどの出来ではありません。

久しぶりの横山秀夫作品と言うことで期待が大き過ぎたのかもしれません。

震度0 (朝日文庫 よ 15-1) (朝日文庫 よ 15-1)
朝日新聞出版 [著] 横山 秀夫
ASIN:4022644354 /文庫/483頁
発売日:2008-04-04
ランキング&評価:---位 3.5
価格:¥ 840 [2008-05-31 Amache]
3 - なにをやっているんだ!
4 - 面白いが他の作品と比べると
3 - “横山秀夫の小説“と考えてしまうと物足りないような気が・・・
5 - 事件は会議室で起こっていた
4 - クオリティはやや落ちるが


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2008年05月17日

ビート −警視庁強行犯係・樋口顕一−

「隠蔽捜査」の兄弟版という感じですね。
「隠蔽捜査」は主人公「竜崎伸也」が、ある連続殺人事件での警察庁の方針と同時期に家族が起こした問題で苦悩します。

この作品は「島崎洋平警部補」の息子二人の内一人が、ある事件の捜査と関わり、更にもう一人の息子が、その捜査で関係の有った人物が殺される直前に会おうとしていた事実が浮かび上がってきます。

警察小説というより、家族の有り方がテーマの家族小説です。

体育会系で単純且つ思い込みの激しい島崎の苦悩、このシリーズの主人公である「樋口係長」の気配り、優しさが好対照に描かれています。

仕事一筋に邁進してきて、子供との付き合い方が良く分からず家族との関係がギクシャクしている父親は少なくないと思います。

もし、そんな父親がこの作品を読めば、自らを振り返ってみるのではないでしょうか。

心温まる家族小説です。

ビート (新潮文庫 こ 42-4 警視庁強行犯係・樋口顕)
新潮社 [著] 今野 敏
ASIN:410132154X /文庫/545頁
発売日:2008-04
ランキング&評価:---位 4.5
価格:¥ 780 [2008-05-17 Amache]
4 - 今野作品のマイベスト1!
5 - 感動します。


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2008年05月02日

死神の精度

短編六編が収録されています。

人間がなんとも不思議な存在であると思っている愛嬌のある「死神」が主人公です。

「死神」を「職業」にしてしまっているのが笑えてしまうのですが、題材が「死」であるにも拘らず暗さが無いのは、この「死神」のキャラクター設定によるものでしょう。

短編集なのですが、六編全体で一つの物語にもなっています。

前半の編で登場した人物が長い年月を経て後半の編に出てきます。
あっ、あの人か、とその後の人生を想像出来てしまうのも面白いですね。

別の作品の登場人物もちょこっと出てきたりします。

死を題材にした作品を読んで爽快な気分になったのは初めてです。
今まで読んだ伊坂作品の中で最も良く出来た作品だと思います。

死神の精度 (文春文庫 (い70-1))
文芸春秋 [著] 伊坂 幸太郎
ASIN:4167745011 /文庫/345頁
発売日:2008-02-08
ランキング&評価:---位 4.5
価格:¥ 550 [2008-05-02 Amache]
5 - 「吹雪に死神」は伊坂作品初の本格ミステリー
4 - 設定がステキな大人のファンタジー
5 - 死ぬってどんなこと
5 - クールで愛嬌ある主人公の「死神」が遭遇する多様な人生模様!
5 - ある寒空のくうき。


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2008年04月20日

重力ピエロ

レイプから生まれた「春」。
出生に特殊な事情を持つ「春」とその家族の物語です。

相変わらずの変人のオンパレードで、重い題材を扱いながら軽妙には仕上がっています。

読み進めていく中で、きっと何か仕掛けがあるだろうと期待していたのですが...。
「春」が抱えている重荷による心の葛藤に耐え続けていたこと、それが殺人に繋がって行くことは何とか理解出来るのですが、殺人の後がどうもしっくりきません。

葛藤の原因を取り除けたにしても、殺人の後にあれほど爽やかになれるものなのだろうか?

伊坂幸太郎の作風上、「臭い」表現は馴染まないのでしょうが、人間は、ここまで感情を隠せるものなのかな?

上手く纏まった作品ではあると思いますが、違和感が残りました。

重力ピエロ (新潮文庫)
新潮社 [著] 伊坂 幸太郎
ASIN:4101250235 /文庫/485頁
発売日:2006-06
ランキング&評価:---位 4.0
価格:¥ 660 [2008-04-20 Amache]
5 - 飛ぶ。
5 - いろいろ
4 - いいと思う
5 - 軽く深く
5 - 文学的作品



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2008年04月06日

オーデュボンの祈り

私は「ラッシュライフ」と「アヒルと鴨のコインロッカー」を先に読んでしまいましたが、「オーデュボンの祈り」がデビュー作なんですね。

この作品も不思議な人物のオンパレードです。
しかも、舞台が150年間も鎖国状態にある孤島です。

変人好き、孤島好きの私は、いきなり物語の中に引きずり込まれてしまいました。

言葉をしゃべる「案山子」、行動パターンが決まっていて反対のことしか言わない「園山」、地面に横たわり地球の音を聞く「若葉」、唯一、外の世界と行き来をする「轟」、人の手を握るのが仕事の「百合」....。

一見何の脈絡もないように思える登場人物ですが、後半部分で明らかになります。

しかも、一気にではなく徐々に明らかにしていく為の伏線の張り方が見事です。
とても、これがデビュー作とは思えないほど完成度の高い作品です。

伊坂作品の独特の世界を是非一度体感してみて下さい。

オーデュボンの祈り (新潮文庫)
新潮社 [著] 伊坂 幸太郎
ASIN:4101250219 /文庫/464頁
発売日:2003-11
ランキング&評価:---位 4.0
価格:¥ 660 [2008-04-06 Amache]
5 - まとまっていく
1 - うーん。。
3 - なんのために
1 - う〜ん。。。
3 - 結末へ向けてのまとめ方が素晴らしい!


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2008年03月21日

尋ねて雪か(新装版)

幼い妹、弟のために自分が働き父親の借金を返すと、20数年前に17歳で東京に出た「佐古田史朗」が主人公。

ひょんなことである組に拾われ、今ではその組を取り仕切る立場にある。

しかし、故郷と幼い妹、弟を捨てた過去が頭から離れず・・・何一つ出来ないことに気が付いていなかっただけで、半分は自分に賭けていたのだが、結果的に借金取りから逃げ出した父親と変わらなかった・・・心が晴れたことはない。

たまたま仕事で訪れた札幌で、頭から離れない過去に出会い、今度こそ何とかしてやりたいと思うのだが.....。

全体としては良くまとまっていると思うのですが、他の志水辰夫の作品ほど胸に迫ってくるものがありません。

多くを語らず、心の内を見せない男「佐古田史朗」というキャラクター設定上、過去と現在は記述されているのですが、最もどろどろしていると思われる現在に至る状況の殆どが読者の想像にゆだねられており、さっぱりし過ぎてしまったのが原因かもしれません。

尋ねて雪か (徳間文庫 (し8-6))
徳間書店 [著] 志水 辰夫
ASIN:4198926786 /文庫/343頁
発売日:2007-10
ランキング&評価:---位
価格:¥ 620 [2008-03-21 Amache]
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2008年03月16日

アヒルと鴨のコインロッカー

大学入学のために引っ越してきたばかりの「椎名」、同じアパートの向かいの部屋に住む正体不明の「河崎」。
「河崎」の過去に関係する「琴美」、「ドルジ」、ペットショップを経営する「麗子」...。
不思議な人物のオンパレードです。

現在と2年前の出来事が交互に展開されていきますが、現状との折り合いをつけながら色々な人生を生きている上記登場人物の物語に途中参加した主人公「椎名」が、戸惑いながら着いていきます。

ペット殺し、HIVなど決して軽い内容ではありませんが、物語り全体としては軽妙に仕上げています。

まぁ、特殊なケースだなと思って読んでいたのですが、他人の物語に途中参加するのは我々の人生でも決して珍しいことではなく友人、恋人、夫婦、会社の同僚もお互いに他人の物語に途中参加していることに気が付き愕然としました。

伊坂幸太郎の作品を読んだのは2作目ですが、人生の機微や悲しみを扱いながらも軽妙に仕上げる独特の力量を感じます。

引き続き他の作品も読んでみたいと思います。

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
東京創元社 [著] 伊坂 幸太郎
ASIN:4488464017 /文庫/384頁
発売日:2006-12-21
ランキング&評価:---位 4.0
価格:¥ 680 [2008-03-16 Amache]
4 - 伊坂作品としは上出来
5 - ストーリーのうまさと青春小説の軽さ
4 - 展開がオモシロイ。
1 - たいくつ
2 - 初めて伊坂幸太郎を読んだけど・・・


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2008年03月01日

繁殖

久しぶりに仙川環の作品を読みました。

保母、「原島聡美」が夏休みに企画した行事で園児が食中毒を起こし管理者として微妙な立場に置かれます。

ところが、実は単純な食中毒ではないことが徐々に明らかになっていきます。

若干現実離れした部分もありますが、「原島聡美」とその恋人「桧垣学」がこの危機に対してどのように悩み対処したのかを中心に物語りは進んでいきます。

そこに、ある大学病院からこの地の病院に派遣され単身赴任をしている「町田信夫」を上手く絡ませています。

家族とも上手くいかず、やりがいを失いかけていた「町田信夫」が生気を取り戻すのと、物語の進行が絶妙にシンクロしており爽やかな読後感を得られます。

世の中、そんなに上手く行かないよと感じる方もいるでしょうか、実生活を振り返ると「町田信夫」の姿が身につまされ、この物語の結末にひと時の安らぎを感じる人も多いのではないでしょうか。

繁殖 (小学館文庫 せ 2-3)
小学館 [著] 仙川 環
ASIN:4094082301 /文庫/288頁
発売日:2007-12-04
ランキング&評価:---位
価格:¥ 560 [2008-03-01 Amache]
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2008年02月23日

残虐記

児童誘拐と性という難しいテーマに立ち向かった作品です。

被害者の少女が事件後自らの精神の均衡を保つべく、色々な事を空想します。

その想像力、精緻さには驚くばかりのなのですが、何故かリアリティを感じてしまいます。

著者の力量を表しているのかと思いますが、ヒョットして著者自身が同様の経験をしたことがあるのではないか、と感じるほどのリアリティです。

一方で、現実なのか夢なのか良く分からない部分も出てきます。
この感覚は何処かで感じた事があるなと思ったのですが、著者の「玉蘭」を読んだ時に感じたことであると思い出しました。

読後感は決して良くありませんが、小説という枠に納まりきらないところに、妙な魅力を感じてしまう作品です。

残虐記 (新潮文庫 き 21-5)
新潮社 [著] 桐野 夏生
ASIN:4101306354 /文庫/255頁
発売日:2007-07
ランキング&評価:---位 4.0
価格:¥ 420 [2008-02-23 Amache]
5 - 無限大の謎
4 - 堕ちきらない切なさ
3 - 小説になりえなかった
1 - これは本当に「作品」なのか?
2 - 意外にも奥行きのない作品でした


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2008年02月17日

隠蔽捜査

正論の人、警察庁総務課長「竜崎伸也」が主人公。

「竜崎伸也」は、強烈なエリート意識を持っているが、単に特権があるのではなく大きな責任と義務を負っていると認識している。
組織の中で正論を貫くと当然軋轢が生まれるが、敢えてそれを貫いている為、変人扱いされている。

その「竜崎伸也」が、ある連続殺人事件での警察庁の方針と同時期に家族が起こした問題で苦悩する。

官僚として、一人の父親としての生き様も素晴らしいのですが、危機に瀕している組織人として原理原則を貫き正義を全うする姿に感動します。

警察官僚を目指し青春を犠牲にして努力し、官僚に個人的な付き合いなど必要ないと考え生きてきた「竜崎伸也」に対し読み始めは、超堅物で人間味のかけらも無い冷たい人間との印象を持つと思いますが、読み終わる頃には印象はガラリと変わり爽やかな気持ちで読み終えることができます。

隠蔽捜査 (新潮文庫 こ 42-3)
新潮社 [著] 今野 敏
ASIN:4101321531 /文庫/409頁
発売日:2008-01-29
ランキング&評価:---位 4.0
価格:¥ 620 [2008-02-17 Amache]
4 - 読後感さわやか
5 - 危機管理の対応で見える組織と個人の質
5 - 合理と非合理の狭間で苦悩する人間像
3 - エリートキャリアを主人公に据えた、異色警察官僚小説


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2008年02月11日

灰色の北壁

山岳ミステリー3編が収録されています。

久しぶりに真保裕一らしい作品を読みました。

3編とも登場人物の心理が非常に丁寧に描かれており、単なるミステリー以上の出来栄えになっています。

迫真の登山描写に思わず手に汗を握りますが、なんと真保裕一はインドア派なんですね。
しかも、山を愛する男のストイックで有りながらも熱い思いも実に見事に書き上げています。

実体験が殆ど無いにも関わらずこれだけ迫真に迫る描写ができるのは、そのまま著者の力量を現しているのでしょう。

3編の中で最もお勧めなのは表題にもなっている「灰色の北壁」です。

灰色の北壁 (講談社文庫 し 42-14)
講談社 [著] 真保 裕一
ASIN:4062759551 /文庫/296頁
発売日:2008-01
ランキング&評価:---位
価格:¥ 600 [2008-02-11 Amache]
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2008年02月03日

ラッシュライフ

伊坂幸太郎作品は初めて読みました。

パラパラとめくった時に日本語でラッシュと発音する4つの英単語の意味とエッシャーの騙し絵が目に留まり面白そうだなと思い購入しました。
5つの物語が微妙に絡み合いながら同時に進んでいきます。
読み進めていく間に、その繋がりが徐々に見えてくることもあり、その先が気になり途中で止められなくなります。

それぞれの物語の中に「好きな日本語を書いて下さい」と言う紙を持つ外人女性が出てきますが、そこに物語の登場人物が書き込む「好きな日本語」、超越した存在として現われる老いた柴犬も効果的に使われており、作品全体に厚みが出来ています。
毎年、素晴らしい作家に巡りあいますが、今年は年初から幸先が良いようです。

豊潤な人生を過ごしたいです。

ラッシュライフ (新潮文庫)
新潮社 [著] 伊坂 幸太郎
ASIN:4101250227 /文庫/469頁
発売日:2005-04
ランキング&評価:---位 4.5
価格:¥ 660 [2008-02-03 Amache]
5 - う〜ん('・ω・`)
4 - 後味すっきり。
4 - 最後まで読んで初めて、すべてが結びつく。
5 - うわっ、やられた!
5 - エンタメ小説の頂点



posted by 京極恭輔 at 13:39 | 上海 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK

2008年01月27日

メドゥサ、鏡をごらん

岡嶋二人作品にすっかり魅せられてしまっているのですが、合作作家「岡嶋二人」の一人、井上夢人の作品ということで迷わず購入した一冊です。

「メドゥサを見た。」と言うダイイングメッセージを残し不可解な死に方をした作家 藤井陽造の遺作を探す為に、主人公が遺作の舞台になったと思われる町へ赴きます。

次々と明らかになってくる奇妙な出来事に、ぐいぐいと引き込まれていきます。
主人公が名前を思い出せなくなった場面では、主人公の名前は分っていると思っていた私自身もすっかり困惑し読み終えたページを読み返してしまいました。

もうこの辺りでは、どんなどんでん返しがあるのか期待は最高潮に達していたのですが....。

あれれ。

仕掛けやアイディアは、岡嶋二人作品と同様に超一流なのですが、本作品の場合は盛り上げるだけ盛り上げておいて後半が尻すぼみになる為、絶景を期待して登山をしたら、途中から見晴らしが段々良くなっていたのに、頂上に着いたと思ったら標高が下がっていた、という感じでしょうか。

飽きることなく一気に読めてしまうのですが、欲求不満の残る作品です。

メドゥサ、鏡をごらん (講談社文庫)
講談社 [著] 井上 夢人
ASIN:4062735067 /文庫/492頁
発売日:2002-08
ランキング&評価:---位 3.5
価格:¥ 800 [2008-01-27 Amache]
1 - 失敗作
1 - この作品だけと信じたい
2 - めちゃくちゃ怖いんだけど・・・
2 - ミステリの棚にあったからつい・・・
5 - 井上夢人のデビュー作


posted by 京極恭輔 at 12:42 | 上海 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK

2008年01月19日

蓬莱

スーパーファミコン用ゲームソフト「蓬莱」の発売間際に殺人事件が起きます。

発売を妨害する組織とその目的は?
このゲームの裏に隠されているものは?

秦の時代の徐福伝説を絡めたロマン溢れる世界と正反対に生臭い世界を上手くミックスしたストーリーが展開されています。

著者の日本人論の記述部分も、なるほどと思えるところがあり単なる娯楽作品以上の出来になっていると思います。

独特の世界を楽しんで下さい。

蓬莱 (講談社文庫)
講談社 [著] 今野 敏
ASIN:406263547X /文庫/443頁
発売日:1997-07
ランキング&評価:---位 3.5
価格:¥ 690 [2008-01-19 Amache]
3 - おもしろかった
4 - 通勤エンターテイメント
3 - 古代史好きの人はハマルかも


posted by 京極恭輔 at 13:06 | 上海 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK

2008年01月12日

チョコレートゲーム

ある中学校を舞台にした殺人事件の謎解きです。

1985年の作品ですが、描かれている内容が時代を先取りしていたのか現時点で読んでも中学生の行動と言うことで考えると古さを感じさせる部分が少ないことに驚かされます。

いつの時代も世代が異なると、お互いにその言動を理解するのは難しいところがあると思いますが、本作品はその中でも至近距離(親子)にある謎をテーマにしています。

岡嶋作品を読むといつも感じるのですが、伏線の張り方に不自然さが無くスムースに楽しめます。

平易に描かれているのに稚拙ではないのです。
私も、その一人なのですが、この独特の世界に夢中になる読者が多いのもうなずけます。

岡嶋作品はオススメばかりなんですが、この作品もオススメです。

チョコレートゲーム (講談社文庫)
講談社 [著] 岡嶋 二人
ASIN:4061842412 /文庫/279頁
発売日:1988-07
ランキング&評価:---位 4.0
価格:¥ 540 [2008-01-12 Amache]
5 - すばらしいスピード感
3 - チョコレートゲームの意外性無し
2 - 期待してたから肩透かし食らった〜〜〜
2 - なんか…
4 - チョコレートゲーム?


posted by 京極恭輔 at 13:15 | 上海 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK